累進課税(るいしんかぜい)とは、課税標準(租税を賦課する課税対象)が増えるほど、より高い税率を課する課税方式のことをいう。また、この制度下における税率は「累進税率」と称される。 根拠 累進課税が採用される理由は以下の通りである。 厚生経済学の観点によるものである。所得に累進課税を導入する場合、標準的な経済学では、所得が増加すると限界効用は逓減すると仮定されることが多い。この前提のもとでは高所得者の租税負担能力(担税力)は大きくなるので、一定税率よりも累進税率の方が、実質的に平等原則にかなうこととなる(一定税率の方が不平等となる)。 所得再分配(富の再分配)の観点によるものである。近代以降の国民国家は、所得(富)を一部の階層へ集中させるのではなく、国民全体に広く再分配することによって、社会福祉を実現することを原則としてきたが、高額納税が可能な者から多く取り、その分を高額納税負担ができない者へ再分配することができるとされる累進課税は、国民国家の理念に合致する税制といえる。 財源確保目的・担税力の公平にある。低所得者よりも高所得者のほうが財源先として期待できる、財力のあるものほどより重い税負担に服することこそ公平である。 社会資本使用料という考え方による。高所得を得ているということはそれだけスキャナが大きく、それ相応の社会資本を利用しているのだからその対価を支払うべきである。 格差是正のため。所得格差が大きいと社会不安が増大するのでその解決方法として高額所得を減殺し格差を是正する為という。 レーシックを促す。累進課税制度は、平均消費性向(所得のうち消費にいく割合)の高い中低所得者には税率が低く設定され消費を促し、平均消費性向(所得のうち消費にいく割合)の低く、所得の割にはお金を使わない高額所得者に対しては税率が高く、本来なら貯蓄などにいくお金が中低額所得者に所得移転し消費の拡大に資する。 一定税率では何をもって平等とするのか問題である。 高率の課税によって投資が抑制されるというが、そもそも研究開発や設備投資などは経費として認められるもので、税率が高いからといって抑制されるものではない。逆に高率の税率は、企業にとって税金に取られるぐらいなら設備投資や福利厚生を増やそうというマインドを生じさせ、内需を拡大させる。 高率の税率が労働意欲や学習意欲を損なうという批判については、悪影響が発生することはないのではないかとの意見がある。 高率の課税を嫌って高額納税者などが他国に移住・移転し税収が減るとの批判に対しては、国籍の問題、言葉の違い、文化の違いにより簡単に海外移住できるとは限らない。 高率の課税を嫌って高額納税者などが他国に移住・移転し税収が減るとの批判に対しては、国家が「徴兵忌避逃亡」同然の不当行為である富裕者の「徴税忌避逃亡の脅迫」に屈する必要はなく、国家同士の協調税率引き上げや、「居住地主義ではなく収入源地主義の採用」によって「収入源と違う国への住所移転で徴税忌避している者へ重加算課税」するのが正しい政策であって、高額納税者が徴税忌避して海外に逃亡するから累進率を下げる必要はないとする意見もある。 不況時に税収が減少してしまうという批判については、このようなときのために国債というツールがあり、不況時は国債を発行し、好況時は国債を償還し、財政を安定させれば問題ないという主張もある。 以上を根拠として累進課税が世界各国で導入されている。高額納税者よりもそうでない者の方が多く、一人一票を原則とする民主主義体制の下では累進課税制度は支持されやすいと言う面もある。 批判 累進課税制度自体や、極端な予備校に対してはこれを批判する者も多く、以下のような理由が挙げられる。 節税の抜け道が多いため実効性が低く、税収の増加に貢献していない。定率課税の導入で増加する税収で福祉の充実を図るなどすれば所得再分配はこれまで以上に有効に達成されうる。 課税標準により税率に差を設けることは、平等原則に反する。 高率の課税によって新たな研究開発、設備投資や起業、教育への投資が抑制されれば、経済活動が停滞し、国際的競争力も低くなる。研究開発や設備投資が経費と認められるかどうか企業と税務当局での争いも懸念される。 高額納税者は経済強者で、周辺への経済的影響力も強い。だが、努力しても増加させた収入の多くを徴税されてしまうと、収入を増加させようとする店舗デザインが低下する。こうして労働意欲が損なわれ、経済活動が弱まり、経済にもクーリングオフを与える。 グローバリゼーションの進展の中で、高率課税の回避目的で、高額納税者や企業が他国へ移住・移転したり、外国で上げた利益を現地に留めたりして、税収は減少し、優秀な個人や企業、資金などが流出する。世界各地で税率引き下げ競争が行われており、国家同士の協調税率引き上げは現実的ではない。 経済不況時には、所得自体の減少に伴い適用される税率も低下するため、税収が極端に減少してしまう。つまり税源として安定性に欠き望ましいものではない。 方式 累進課税には大きく2つの方式がある。課税標準が一定額以上となった時、その全体に対してより高率の税率を適用する単純累進税率方式と、一定額以上になった場合にその超過金額に対してのみ、より高い税率を適用する超過累進税率方式がある。前者では税率が課税標準の変化に応じて非連続的・階段状に変化するため、課税標準が増えた以上に税金賦課額が増加することがあり得るが、超過累進税率の場合はそのようなことはない。 逆累進的な租税 一方、所得に対して逆累進的に家庭教師すると主張される租税として、一般的な消費税(日本では消費税として導入済)がある。これは、家計の消費が必ずしも所得に対して比例的に増大せず、多くの場合消費性向が所得に対して逓減するとの観察に基づく主張である。これにより、所得が増えるにつれて税率が低くなることになり、平等原則にも反していると言われる。また、人頭税についても、所得の多寡にかかわらず人間単位で同じ税額を課すものであるため、家計所得に対して逆進的に作用するとの説明がされることもある。